初日、高塚小屋までたどり着き、雨のテント泊。
夜中、一度目が覚める、
テント内は真っ暗、雨の音を聞く、
また眠る。
暫く眠って、再び目が覚める。
5時にセットしといたアラームは鳴っていないので、
まだ眠れる。
そう思って目を閉じた瞬間、アレレ?
テント内がうっすら明るい、
手元に置いてある物がはっきりと見てとれる、
一瞬、寝坊して夜が明けたのかと思ったけど、
違う、射し込んでいたのは月明かり。
テントを叩く雨音は聞こえない、
雨も止んだ。
5時、アラームが鳴って目を覚ます。
雨が止んだことで一安心、昨夜の重い気持ちが一遍に軽やかに。
朝食は
五木のうどんとファミマの紅鮭おにぎりと魚肉ソーセージ1本。
がっつりめ。
食後のコーヒーまでキメて、いよいよ撤収にとりかかる。
荷物をザックにまとめ、テントの外にでて空を見上げると、
どんよりの隙間から青空が垣間見える、
あの青空がどんどん広がって、るんるん♪な今日が始まって、
まずは目指すは宮之浦岳、気持ちの良いトレイルを歩く自分。
そんな姿を想像しながら、テントをデッキに干して乾くのを待つ。
どうせ全乾きする事も無いので「もー良かろう」とテントを畳みかけた時、
また、雨が降り始めた・・・。
屋久島二日目の始まり。
7:27、高塚小屋を後に、
身に纏っているのは昨日から濡れたままのレインウェア。
取り敢えず新高塚までてくてく。
微かに電波の入る高塚小屋で天気予報を確認したところ、
今日は雨のち曇りのち晴れみたいな時間ごとの予報がでてる。
明日は依然快晴の予報。
気になるのは昨日今日、雨が降り続いたせいで、
快晴の明日でも鯛之川が増水していないか、渡渉は可能なのか、って事。
淀川から尾之間歩道へ入って2時間程歩いたところに位置する鯛之川出合い。
明日、そこまで行ってもし増水していて渡渉が無理だった場合、
淀川登山口迄引き返すしかない。
そして紀元杉バス停まで歩く。
出ているバスは10:40発と14:50発の一日2本。
10:40発には間に合うか分からない、
14:50発の便では、16:00宮之浦港発の最終のトッピーには間に合わない。
明日のうちには屋久島を発たなければならないので、
明日に予定している鯛之川の渡渉は、
「もし、行ってみてダメだったら引き返そう」
は極力避けたいのだ。
雨、天気、明日歩く尾之間歩道、鯛之川の増水、
そんな心配事ばかりで頭をいっぱいにしつつ歩いてると、
ひょっこり新高塚小屋に到着。
誰も居ない様子の小屋を通り過ぎ、
先へ進むも頭のなかはやっぱり天候のことばかり。
一旦雨が上がっては気分が上がり、
再び雨が降り出しては下がる、
の繰り返し。
雨が降り続いた場合のプラン変更も考え始めたのは、
宮之浦歩道、第一展望台あたり(ガスで展望も何も無かったですが)。
ふと行く先にまたヤクシカの白いお尻が、
今度のは体もデカく、立派な角を持った牡鹿。
近づくの怖いんで距離を保ちながら鹿さん速度でゆっくりと進行。
立ち止まっては歩くのノロノロ歩行な鹿さん。
漸く道を譲ってくれました。
8:53、新高塚から1.4キロ歩いてきたところ。
中空には真っ白いガスが漂うのみ。
展望や景色が無いから木ばかりに目が行きます。
ガスが薄くなり行く先には小高く平石の岩群が。
それにおお!と思ったその脇に、
風も吹いて無いのに風に吹かれてる様に生えてる木。
それにも、おお!
登って行くと、
平石岩屋。
強風で知られるこの辺りですがこの日はさして風も強くなく。
引き続き真っ白なトレイルをえっちら進みます。
で、休憩にちょーど良い場所で休憩、疲れたし。
気になるのはやっぱりお天気、
明日は快晴の様だし、今日の雨も何処かで止んで、晴天が広がるだろう、
宮之浦岳は携帯の電波が入るし、そこでまた天気予報を確認してみよう。
まー、それまでには空も青くなってるかも知れないし、きっと大丈夫。
と、そんな奮起を自分に起こさないといけないくらい、
実はこの時、
尾之間歩道へ行けるか行けないか、行くか行かまいかでグラグラしてました。
とにかく宮之浦岳山頂で明日の快晴と今日これからの好天を確認して、
そんなグラグラを跳ね除けようと言う魂胆。
企みを胸に、歩き続け、
9:58、
焼野三叉路到着。
そうそう、この情報を事前にキャッチしてしまったので、
今回は花山歩道をコースに選べなかったのです。
では、一路宮之浦岳山頂へ。
意外と長く感じた焼野三叉路から宮之浦山頂迄の道のり、
山頂直下には迫力の巨岩、それを包む真っ白いガス。
10:30くらい、山頂到着。
周囲の視界をガスに遮られた真っ白の世界。
でももう慣れっこ、だって宮之浦岳に三回登って三回ともこうだから。
そんな事より天気予報の確認!
予報が変わってるかも知れないし。
なかなか繋がらない電波にやきもきしながら恐る恐るお天気サイトを確認、
そこに表示された予報は、
本日午前から昼まで曇り、昼過ぎ一時晴れ、その後から夜間迄は雨、
翌日11日、未明より雨、午前中も雨、午後は折り畳み傘マーク。
要するに
今夜は雨、快晴の筈だった明日も雨。
受けたショックの勢いのまま自分の心を自分でへし折り、
明日の尾之間歩道行きを断念しました。
つづく。